香川県内でもあまり知られていませんが、弘法ネギは小規模ながら香川で栽培されていた伝統野菜です。
このネギは、一般的な九条ネギ(青ネギ)のようなネギ坊主(花の集まったもの)ができません。その代わりに葉の先に小さなネギがいくつもできてきます。
小さなネギの先端からまたネギが2段、3段とできることがあり、その姿が「櫓(やぐら)」に似ていることから、「ヤグラネギ」に分類されています。
ヤグラネギは、昔は全国各地で栽培されていたようで、讃岐出身の平賀源内も「物類品隲(ぶつるいひんしつ)」(1763)という書物に記しています。しかし、生産性があまり良くなかったため、今では弘法ネギもほとんど作られなくなりました。
この弘法ネギを復活させようと、香川大学農学部で株が保存されて,2015年からは香川県と観音寺市の農業法人「讃葱(さんそう)」もいっしょになって復活栽培をはじめました。
昨年からはお歳暮商品(高松三越オリジナルのさぬきうどん)に使われるようになり、今年も同様に取り扱われるそうです。生産量が少ないために弘法ネギだけの販売はまだ開始していないとのことでした。